泣かないって決めたのに、涙がまた溢れた。
横にいたれーくんも、泣いていた。
多分、同じことが書かれていたんだと思う。
その後、きょうくんのママとパパに聞いた。
ママとパパが言っていた。
「きょうくん、隠してたんだね。
私たちも言おうと思ったんだけど、もう、言ってるだろうと思ってたの。ごめんなさい。」
私は、少しホッとした。なぜなら、きょうくんのママとパパが病気のこと知っていたから。
きょうくんは全部1人で抱え込んでしまうから。
でも、私には言って欲しかった。
頼って欲しかった。
一緒にいたかった。
嫌なことがまた起きそうな気がした。
もう少しきょうくんの部屋を探すと、たくさんの写真があった。
全部3人で写っている。赤ちゃんの時から、今までのぶん。いつの間にか取られていた。
おやつを食べて嬉しそうな3人。
並んでお昼寝している写真。
旅行に行った時の写真。
いろんな写真があった。1番、新しいのは、私たちのうしろ姿。いつの間にか、撮られていた。
嬉しかった。悲しかった。
もう、これきりきょうくんの部屋に行くのはやめようと決めた。
引き出しを開けると、久しぶりに見るものがあった。それは、3人で貯めていた貯金。
1日10円ずつ入れていく。
私が引っ越してからも、2人で貯めていたらしい。
その他にもたくさん出てきた。
この数年間何をしてたんだろう。
なんで、きょうくんが行けなくなった学校に行っていないんだろうと思った。
だから、学校に行くことにした。
久しぶりに学校に行った。
教室に入った瞬間のみんなの白い目。
ざわざわとしだした。
私の机には、落書き。いや違う。悪口だ。
人の状況も知らないくせによくも机に私の悪口なんか書けるなと思った。
先生なんか見てみぬふり。
先生に聞いても、「そんなわけないでしょ!このクラスにいじめがあるっていうの?!」
と怒られた。
内心私は、
「このクラスには、この学校には、いじめというものがあるんだよ!」と思った。
この先悪いこと、嫌なことが永遠に続いた。
それからまた学校に行かなくなった。
そんなこんなでもう3学期。
そんなある時、室長が家にやってきた。
「どうした?なんで学校こやんの?
悩み事でもあるん?何なら相談乗るよ?」
ぁーぁ。めんどくさい。
そう思った。どうせ相談したって、クラスにバラすんやから。話さんくてもいいやん。そう思った。
でも、一応相談してみることにした。
クラスでのいじめ、きょうくんが亡くなってしまったこと。
すべて相談した。
来てくれているのは、男子のほうばかり。
女子は?と聞くと、
「多分、てか絶対嫌な思いするから会わないほうがいいと思うよ。」
私は、
「私の嫌がらせしてるんだね。そんな人が室長になっていいの?」
といつの間にか声に出してしまっていた。
慌てて口を塞ぐが、もう、遅い。全部聞こえてしまっていた。
それから毎日来てくれるようになった。
相談することもなくなって、いつの間にかクラスの話で盛り上がっていた。
メアドも交換して、今日クラスで起きた事、部活のことなどすべて話してくれた。
いつの間にか、その子が来るのを楽しみにしている自分がいた。
でも、私はその人の名前を知らない。
だから、思い切って聞いてみた。
「ねぇ、名前教えて?」
「あっ。名前知らなかったの?
そんな人と話してて怖くなかったの?」
「ある意味怖いね。でも、優しい人だし、頼りになるから信じれるんだと思う。
んで名前は?」
「あー。ごめんごめん。
俺の名前は岡野 春祐(しゅんすけ)。
そっちは?」
「美々安」
「変わった名前だなー。
俺、ふつーすぎる名前やろ?w」
「うん。どこにでもおりそーな名前やな!w」
「美々安の笑顔ってめっちゃ可愛いなぁー。」
「何言っとんの?ふざけんなー!w」
「もしかして照れとる?」
「んなわけないやろー!w」
こんな話ばっかりしてる。メールでも、家で話してても。
次の日、春祐は公園に私を呼んだ。
私は久しぶりに外に出た。とても寒かった。
「ごめんな。寒いのに外出さして。」
「全然いいんやけど、こんなに寒いとは思ってなかった。」
「あのさ、学校に来てくれやん?この前席替えして、俺美々案の隣になったんだよね。やから、話しやすいと思うし。1回でいいから来て。」
「わかった。気が向いたら行く。」
「んなら学校で待っとるでな!」
すごく喜んでいた。
そんなに喜ばんくていいのにと思った。
1週間後学校に行った。
本当に春祐の隣だった。学校が楽しいと思ったのはすごく久しぶりだった。
休み時間もずっと一緒に話していた。
春祐はモテるらしく、私は放課後女子に呼び出された。
「春祐につきまとうのやめたら?」
「めっちゃキモイよ。春祐はみんなの室長なん。独り占めしやんといてくれやん?」
「そんなん知らんし。うちは、いじめられて学校行かんくなって、毎日春祐がうちの家に来てくれとんの。
それで、隣になったから来てって言われたから行ったら、放課後呼び出されて、春祐に近寄るなって?
調子こいとんなよ。」
言い過ぎた。と自分でも思った。
でもそれからは、誰も何も言い返してこなかった。
ある意味嬉しかった。
二ヶ月間隣だった席も終わりになった。
でもまた近くに春祐がいた。しかも私の隣は誰もいない。ただ、春祐の隣が前に近寄るなと言ってきた子だった。
近寄るなと言われたことも、相談したし、気が楽だった。なのに、次は斜め前?どんだけふざけとるんや!とおもった。
しかも班長だ。
結局またいじめられて、不登校になってしまった。
たまたまれーくんが来ている時に春祐が来た。
ママに呼ばれて階段を降りていったら、
「よっ!」
と言って来た。
それで、何のためらいもなく私の部屋に行った。そこでれーくんと春祐は見つめ合っていた。
「どいて」
「あっ、ごめん。てか誰?彼氏?」
「れーくん。彼氏じゃなくて幼なじみ。」
「れーくんあのね、うちのクラスの室長の春祐」
「ふーん。まぁよろしく。」
「こちらこそ」
「んでどーしたん?プリントとかなんかあった?」
「いや別に。相談あるんなら聞こかなーって思って。」
「ないけど。そうや!2人ともここにおって!」
私はリビングに行ってトランプを取りに行った。
相談することもなかったし、初対面の2人を仲良くさせてやろうと思った。
「ジャジャーン!トランプやろ!」
「何がいい?」
「なんでもいいなら、ババ抜きね」
「 ・・・」
「・・・」
「はい!ババ抜き決定ー!」
始めてから数分後2人は仲良くなって、メアドも交換していた。
ママが、買い物に行くと言って出かけていった。