それからは、私は学校に行かずにれーくんの家に2ヶ月も住んでいる。
れーくんも、学校にいく気にならないらしい。
毎日、きょうくんのお墓に行っている。
ある日、きょうくんのクラスの子達がお墓にやってきた。
その中で、1番泣いている子がいた。
私は、初めてその子を見た。
その子(聖蘭)(せら)は、きょうくんのことが好きだったらしい。
せらちゃんは、すごく綺麗な黒髪で小柄。
でも、性格も顔もあんまり良くない。
中1のときの友達がいた。
その子は
「びびと付き合いはじめたとき、すごかったよ!1人なんか上の空やし、休み時間になると、びびが、びびがってびびの話しかしてなかったで!」
その時、涙が溢れた。
そんなに、私のことを思っていると思わなかった。
なぜなら、私はそんなに友達がいなくて、全然きょうくんのこと、話さなかったから。
今日もお墓に行った。
いつも、お墓に持っていっているものがある。
それは、私たち3人の笑顔の写真。
それと、手紙。
久しぶりに、きょうくんの部屋に行った。
そこで見つけたのは、私とれーくん宛の手紙だった。
私の手紙にはこう書いてあった。
「びびが、これを見てるってことは、俺は死んだんだな。
俺、隠してたことがあるんだ。実は、病気だったんだ。
今まで黙っててごめんな。けど、許してくれ。心配かけたくなかったんだ。迷惑かけたくなかったんだ。
でも、許してくれないんだろうな。
p.s.俺と付き合ってくれてありがとう!
一緒にいてくれてありがとう!
びびが、最後の恋人でよかったよ!
急に死んで、ごめんな。
恭也より」
泣かないって決めたのに、涙がまた溢れた。
横にいたれーくんも、泣いていた。
多分、同じことが書かれていたんだと思う。
その後、きょうくんのママとパパに聞いた。
ママとパパが言っていた。
「きょうくん、隠してたんだね。
私たちも言おうと思ったんだけど、もう、言ってるだろうと思ってたの。ごめんなさい。」
私は、少しホッとした。なぜなら、きょうくんのママとパパが病気のこと知っていたから。
きょうくんは全部1人で抱え込んでしまうから。
でも、私には言って欲しかった。
頼って欲しかった。
一緒にいたかった。
嫌なことがまた起きそうな気がした。
もう少しきょうくんの部屋を探すと、たくさんの写真があった。
全部3人で写っている。赤ちゃんの時から、今までのぶん。いつの間にか取られていた。
おやつを食べて嬉しそうな3人。
並んでお昼寝している写真。
旅行に行った時の写真。
いろんな写真があった。1番、新しいのは、私たちのうしろ姿。いつの間にか、撮られていた。
嬉しかった。悲しかった。
もう、これきりきょうくんの部屋に行くのはやめようと決めた。
引き出しを開けると、久しぶりに見るものがあった。それは、3人で貯めていた貯金。
1日10円ずつ入れていく。
私が引っ越してからも、2人で貯めていたらしい。
その他にもたくさん出てきた。
この数年間何をしてたんだろう。
なんで、きょうくんが行けなくなった学校に行っていないんだろうと思った。
だから、学校に行くことにした。
久しぶりに学校に行った。
教室に入った瞬間のみんなの白い目。
ざわざわとしだした。
私の机には、落書き。いや違う。悪口だ。
人の状況も知らないくせによくも机に私の悪口なんか書けるなと思った。
先生なんか見てみぬふり。
先生に聞いても、「そんなわけないでしょ!このクラスにいじめがあるっていうの?!」
と怒られた。
内心私は、
「このクラスには、この学校には、いじめというものがあるんだよ!」と思った。
この先悪いこと、嫌なことが永遠に続いた。
それからまた学校に行かなくなった。
そんなこんなでもう3学期。
そんなある時、室長が家にやってきた。
「どうした?なんで学校こやんの?
悩み事でもあるん?何なら相談乗るよ?」
ぁーぁ。めんどくさい。
そう思った。どうせ相談したって、クラスにバラすんやから。話さんくてもいいやん。そう思った。
でも、一応相談してみることにした。
クラスでのいじめ、きょうくんが亡くなってしまったこと。
すべて相談した。
来てくれているのは、男子のほうばかり。
女子は?と聞くと、
「多分、てか絶対嫌な思いするから会わないほうがいいと思うよ。」
私は、
「私の嫌がらせしてるんだね。そんな人が室長になっていいの?」
といつの間にか声に出してしまっていた。
慌てて口を塞ぐが、もう、遅い。全部聞こえてしまっていた。
それから毎日来てくれるようになった。
相談することもなくなって、いつの間にかクラスの話で盛り上がっていた。
メアドも交換して、今日クラスで起きた事、部活のことなどすべて話してくれた。
いつの間にか、その子が来るのを楽しみにしている自分がいた。