桐野の宛てにあったメッセージカードとタロットカードは証拠品として警察が処理している。ソードのA、意味は『始まり』。これがまだ始まりに過ぎないのならまたどこかで犯人からの予告状がくるはずだ。そんなことを考えながら柳沢は花をいけ終わると、早々に病院を出ていった。静まりかえる二人の病室。

「須田さん…怪我、したんですか」

護っていったのに。絶対に護って、約束したのに―――。またあの人を危険な目に合わせてしまった。

「したっていっても俺のは君よりも軽い。桐野くんこそ、本当に大丈夫なのか」

心配をかけさせるなんて、怪我をさせるなんて、したくなかったのに――――。

桐野は呼吸器をひっつかみ腕に刺さった点滴を引っこ抜く。出かける気だ。須田は今度こそ彼を引き止めるため、桐野の腕にしがみつく。行かないで、と哀願するように、桐野の瞳を真っ直ぐに見つめる。