がばっ、と互いに距離をとりだし、気づかれないように後ろをむく二人。きょとん、とした顔で二人を見る柳沢。逆に後ろをむくほうが不自然極まりない二人だが、それは致し方がないことなのかもしれない。なにしろ二人とも恥ずかしさで顔が真っ赤になっていたのだから…。

そんな二人の良き場面とはつゆ知らず、柳沢はやってきて見舞いに持ってきた花を花瓶にいけていた。
たいぶ顔から熱がひいたところで、須田が口を開いた。

「すまないね。お見舞いに来てもらって」

「いえ。でも良かったです。先輩も須田さんも無事で、先輩なんか怪我の上から、今度は爆発に巻き込まれたっていうじゃないですか。本当にいまここにいるのが不思議なくらいですよ」