「待ってよ。司。」

もー、やっぱり追いつけない。
あきらめて、足を止めるとゆっくり歩きだす。

司は知らん顔したまま廊下を進んで、階段のほうに行ってしまった。

薄暗くなってきた廊下は、シーンとしていて、あたしは少し心細くなった。
歌でも歌いながら行こうかな?

そう思いながら、突き当たりを曲がった瞬間。

「ワッ!」

「キャー!!」

目の前に、司が飛びだしてきた。