やっぱり砂原王子はやさしい。


あたしに歩幅あわせてくれて、いつの間にかとなりを歩いていた。

「あの…話って…？」


間がもたなくて、すぐ本題に入ってまう。


「ああ。そうだね、少し長くなるけどいい？」

「ん。」


「あるシャイな男子がいて、彼は好きな子がいるんだけど、その子にどうやって接したらいいかわかんないんだ。」

「うん。」

「彼女の気を引きたいのに、つい悪口言ったりして、いまいち彼女に気持ちが伝わらない。」

「あーなんかよくある話だね。」

「あきらめようかとか悩んだりして。」

「わかる～でも、出来なくて。」

「そこで、彼女の気持ちを知りたくて、わざと他の子と仲良くしてみせたりして。」


なるほど、これってもしかして、砂原王子本人のことかな。
でなきゃ、砂原王子があたしなんかと、付き合うなんてことあるわけない。

悲しいとか、腹が立つというより、なんだかホッとした。