じゃあ、そろそろ行こっかと立ち上がると、うしろから司が袖を引っ張る。

「帰りあんま遅くなるなよ。帰りに迎えに行こうか?」

「うわー!過保護ってか、もうストーカーの域じゃね?」

北城にからかわれても、司は素知らぬ顔で答える。

「いいんだよ。俺たちはこれで。」

「そうゆうもんなの?重すぎない?」

北城が心配そうに、まなみの顔を覗き込む。

「北城は暑苦しい。くるみがいいんならいいんじゃない?」

全員がどうなの?ってあたしの方をみる。

「いいの。断ってもどうせ迎えに来ちゃうんだから。」

「じゃ、決まりだな。砂原、サクサク部活終わらそうぜ。」

勝手なこと言いつつ、司は砂原王子の腕をつかんで教室を出ていこうとしたのに、なぜかあたしの方に戻ってきた。
そのまま、あたしの正面に立つと急に真顔になる。

「忘れてた今日の分。くるみ。好きだよ。」

「バカ!教室でなに言っての。早く行きなよ部活!」

真っ赤になったあたしをみて、司は満足そうに笑う。
悔しいけど、司にはとなりで笑っててほしい。
あしたも。
あさっても。