むかし、幼稚園の頃。
司の両親が仕事で遅くなる日は、うちで司は過ごしていた。
日が落ちてくると不安になるのか、司はよく泣き出していた。
その度にあたしが抱きしめて、背中をトントンしていた。

「つかさくん、なかないで。くるみがずっといるからね。」

「くるみちゃん、ずっといてね。」

「うん。おおきくなってもずっといるから。」

「じゃあ、おおきくなったら、けっこんしてくれる?」

「うん。くるみ、つかさくんのおよめさんになる。」

そう言って、泣いていた司を何度もなぐさめていた。