「ぃやったぁぁー!!」

司が大きな声で、おたけびをあげると、あたしを抱き上げた。
周りにいた係員やゴンドラから降りてきた人達が、一斉に何事かと振りあおぐ。
司は何も気にならないのか、そのまま、お姫様抱っこにして、観覧車の乗り口に向かう。

「いやっ、なに?恥ずかしいよ。」

歩きだした司にゆすられ、あわてて首にすがりつく。
ちょうど、待ってた人が途切れたタイミングだったようで、ヒラリと柵をまたいだ。

「2人乗ります。」

係員にそう告げると、あたしをゴンドラのなかに降ろして、窮屈そうに司が乗りこんできた。
それから、あたしのとなりに座ると、肩をぎゅーっと抱きよせて、首もとに顔をうずめてきた。
おどろいて、顔をあげると、外にいる王子と安藤さんが笑顔で手を振っている。
あたしは、あいまいに笑って手をふりかえした。