あたしが降りると、司がずんずんと近づいてきて、顔をのぞきこむ。

「えっ?な、何?」

「泣いてないならいい。」

そう言ってほほをひとなでした。
それから、砂原王子にむかって掴みかかる。

「わー!司!待って待ってー!動画ちゃんと見て聞いてー!」

あわてて、安藤さんが間に入ろうとしたけど間に合わない。
あたしも、必死に司のうでを掴む。

「司、やめてー。違うから、あたしが好きなのは司だからー!」

瞬間、司が固まって、そのままあたしの顔をまじまじと見つめる。

「いま、好きって言った?」

あたしは、コクンとうなづく。
ぐるりとまわりを見渡した司に、安藤さんも、王子もいっしょにコクコクとうなづく。