土曜日がきた。


約束の時間より早く遊園地につくと、砂原王子はすでに待っていた。


「おはよう。緊張して早く来すぎたかな。」

「おはよう。私も。」

「じゃあ行こう。早瀬さんはここ、来たことある?」

「小さい頃あったかも。」

「僕は、初めてなんだよね。」


えっ!意外。

「か、彼女とかと、来てないの?」

「彼女すら初めて…かな。」


はにかんだように笑う砂原王子は、嘘だとしてもカワイイ。


「おーい羽柴。」

顔をあげた視線の先に司がいた。

凍りつくあたしにお構いなしに、砂原王子は声をかけた。


「おはよう。羽柴も早かったな。」

「俺は、砂原に呼び出されただけだかんな。」


言い訳するように司がつけ足す。

すると、後ろから声がした。



「あれーくるみちゃんと羽柴、砂原じゃん。なになにその三角関係。」


見るとフランケンではなくて、北城がまなみと一緒に立っていた。


そしてその後ろに安藤さん。

「そっちこそ、3人で来たの?」


あまりにも驚いておもわず言ってしまった。

すぐに反応したのはまなみ。



「違う、駅からいっしょだったんだけどコイツしつこくて!あたしはちゃーんと砂原君に、呼び出されたんだけど。」

「あたしは、ヘタレの従兄弟に頼みこまれて来たんだけど、まあいいわ、面白くなりそうだから。」


安藤さんは、相変わらず挑戦的な笑顔を見せる。

「とりあえず、入ろうか。」

そう言った砂原王子がペアチケットを2枚取りだした。