「早瀬さん。少し落ち着いた?」

「あ、あの、まなみは?」

「夏目さんにはちょっと外してもらったんだ。」

なんで?と尋ねる前に砂原王子に抱きしめられた。何が起こったのか、わからなかった。
突然のことすぎて頭が真っ白だ。

「早瀬さんのこと、好きなんだ。」

「え……。」

「この前も僕から付き合ってって言ったよ。覚えてる?」

「でも、あれって駅までだけじゃ…。」

「やっぱり勘違いしてたんだ。答えはいそがないから。」

そこまで言うと砂原王子は抱きしめてた腕をゆるめた。
あたしは、その場にへたりこむ。
しばらくそのまま動けなかった。