「なにあれ、感じワル。」

まなみの声で我にかえる。

「ヤバ、ちょっとボーっとしてた。」

「くるみここ、片付けしてくから、少し休んできたら。」

「でも、実行委員会の仕事だから。」

あたしの言葉を遮るように砂原王子がハンカチをさしだす。

「賛成。こっちが落ち着かないから。」

「え、なんの…。こと?」

「ほんと、泣くほど辛いなら行かせなきゃいいのに。」

まなみが砂原王子からハンカチを受けとると、あたしの顔をそっとぬぐう。

それで堰が切れた。

でも、それは司の責任感だから。
あたしが口出しすることじゃないし。
とかぐじゃぐじゃと言い訳をしてしまう。
そんなあたしの頭を、まなみはただ撫でてくれる。