「おはよう、千波。」

「シオちゃん、おはよう。」

私にあいさつしてきたこの美人は、『シオちゃん』こと『美澤汐里【みさわしおり】』。

「相変わらず、あんた、渚くんに愛されてるわねぇ。」

シオちゃんは、茶化すように言う。

「その『言い方』やめてよ。」

「おっと、そうでした。あんたの『憧れの君』はいずこに‥‥‥‥。あっ、いたよ。」

シオちゃんの視線のほうへ目を向けると、ある男の子が仲間たちと笑いながら、しゃべっていた。

ドキンッ!!

私は胸が高鳴るのを感じていた。

美形だが、男らしい顔立ちの少年。

渚とは、まるで『正反対』の男の子。

私は、彼に『恋』していたのだった。

名前は、『久瀬湊【くぜみなと】』くん。

私と久瀬くんとは、『友達』だった。

シオちゃんからは、『告白しなよ』って、さんざん言われている。

だけど、私は、今一歩が踏み出せずにいる。

この『容姿』と『長身』が、コンプレックスとなり、『告白』する勇気が持てずにいた。

私は、今はこの『関係』のままでいい。

そう思っていたのだ。

だが、後にそれを『後悔』することになる。