「ひな、しっかり掴まってろよ!」


絢斗は器用にハンドルを操り、車の間をすり抜ける。


あたしは怖くて、目を開けていられなかった。


『今日こそは、逃さねぇからなっ!!』


今日こそはって…。

あんた何回、お世話になりかけてるのよ…。


「絢斗さん、先行ってください!」

「おう!頼んだぞっ」


絢斗がそう言うと、残り3台の単車が急にスピードを緩めた。