どうやらここは、野生のシカも出没するよう。


「翼、ちょっと近づいてみようよ!」

「いいぜっ」


と言って、翼と咲斗はあっちへ行ってしまった。


夜景を見ていると、自然と言葉がなくなる。

そして、辺りは静まり返る。


聞こえるのは、夜風で揺れる木々の葉の音だけ。


そのとき…。


「ひな」


後ろから、絢斗があたしを呼んだ。


なんだろうと思って振り向くと、絢斗の顔がすぐ近くにあった。