「…お疲れ様」


笹野くんは、あたしに背を向けた。


そのとき、笹野くんのズボンのポケットから、1枚の小さな紙がヒラヒラと床に落ちた。


「笹野くん、なにか落ちたよっ」


あたしは、そのピンクのメモ用紙を拾い上げた。


するとそこには、名前とアドレスと電話番号が書いてあった。


「これ…」

「…ヤベ」


笹野くんは小声で呟くと、あたしから紙を取り上げた。