そう言いながら、ひなちゃんは目を逸らす。


「ほかには?」

「ほか…?書き終わったあとすぐに帰ったから、…なにもないよ」


“…なにもないよ”


…ひなちゃん。

なんで、嘘…つくん……?


絢斗は怒りのあまり、ひなちゃんを壁に押し付けた。


あの絢斗が、ひなちゃんに乱暴な態度を取るなんて…。


笹野先生にひなちゃんがキスされたことが、よほど悔しかったんやろう。