そう思って、電話を切ろうとしたとき…。


『もっしも~し!』


意外と元気な声が聞こえてきた。


どうやら、俺よりも早くに起きていたらしい。


『涼から電話なんて、珍しいじゃんっ』

『まぁな』


俺は、携帯を耳にあてたままリビングへ行き、コーヒーメーカーのスイッチを入れた。


『で、なにか用?』

『うん、あのさ。昨日の帰りのタクシーで、由香里に金渡しに行くとき、絢斗も行くって言ってたろ?』