普段、俺が通うバーは、俺みたいに1人でくる客が多い。


だから、ゆっくりとしたリズムの音楽が流れ、店内も静か。


話し声と言ったら、マスターとカウンターに座る客との声くらい。


それとは逆に、ここは“華やか”で“賑やか”という言葉がよく合う。


…正直、俺が苦手とするような場の雰囲気だった。



席に着くと、さっそくボーイが尋ねてきた。


「ご指名はございますか?」