『オニカナ』というのが広まったのは、そう遅くはなかった。
元々『鬼』と呼ばれ恐れられていた詩帆に、世間で言う『毒舌』の私がくっついたと噂が広まった。
そんな私と詩帆のコンビ性も、期待に応えるかのようななかなかのもので。
カチンときたヤツは、詩帆が目で殺し、私が言葉で潰す。
「これじゃあ、まさに『鬼に金棒』じゃねぇかよ...」
きっと誰かがこんなことを言ったんだろう。
それから私たちは『オニカナ』の名で、知る人ぞ知る者に恐れられている。
「別に私、『毒舌』なんかじゃないのになぁ~...」
『鬼ヶ島』から見上げた空につぶやいて、私はふぅ~と溜息をついた。