「...なにアンタ、抜かしてんの?」
詩帆のキツく突き刺さる目線とともに、私の口から走る言葉。
食堂の列に並んでいた私たちを抜かしたソイツは、ひどく青ざめた顔をしている。
「すっ、すいません...」
「ジャマなんだけど。
どいてくんない?」
私のその言葉とともに、腕を組んだ詩帆がチッと舌を鳴らした。
それが警報になったかのように、まえで怯えるソイツの肩を男子生徒がガッチリと掴んで引きずり出した。
ソイツは引きずられたまま、なにやってんだよと耳打ちされる。
「おまえ、アイツら『オニカナ』だぞっ!」