ホテルを出て神林さんと吉野さんにバイバイした。


「優月ごめんな…嫌な思いさせて」


碧依さんは眉を下げて言う。


私の頬に触れた手が微かに震えてた。


それは寒さのせいなのか、違う理由なのかはわからないけど、私のことを大切にしてくれてるって思えて嬉しかった。


「碧依さん…好きです。無理矢理なんかじゃないからね。本当に好きなんだからね」


どうすれば気持ちが伝わるんだろう…。


ただ今の私には“好き”を口にするのが精一杯でほかには何も出来ない。


本当に子供なんだ…。


「どうしたら伝わる…?」


教えてもらうことでしか気持ちを伝える術を知らない。


また泣きそうだよ…。


「さっき泣いてたのは俺のこと好きだからでしょ?十分伝わってる。優月に好きって言ってもらえるの、俺すっげぇ嬉しいんだよ?」


…嬉しい。


周りにはたくさんではないけど人がいるのに、なんでかな…涙が止まんない。


碧依さんの左手を両手で握りしめた。


「今日はあんまりクレープ食べれなかったから、また来ような」


優しい碧依さんの声。


好き。


大好き。


碧依さん…愛してる。