話を聴いていくうちに嫌な気分になってきた…。


「ちょっとお手洗いに行ってきます…」


言い残して、静かに席を立つ。


トイレの手洗い場で水を出して顔にかけた。


頭を冷やして、落ち着いてから戻らなきゃ…。


鏡に映った自分の顔を見た。


情けない顔…。


今にも泣きそうな自分がそこにいた。


「ふぅ…」


息を1つ吐いて、パンパンと頬っぺたを叩く。


大丈夫…!


自分に言い聞かせて碧依さんたちのところに戻ることにした。


「なんかあの子今まで藤堂くんが付き合ってた子たちとタイプが違うね」


トイレのドアを開けて出てすぐに吉野さんの声が聞こえた。


あの子って…私?


もしかしてタイミング悪かった?


トイレは座っていた席の近くで、少し入り組んだところにドアがあるから、出てきても私の姿は見えない。


「たいして可愛いわけでもないし、藤堂くんはなんで付き合うことにしたの?優しいから断れなかったとか?」


笑いながら言う吉野さん。


これじゃ益々出て行きにくいじゃん…。


それに…そんなこと碧依さんに言わないでよ…。


子供な私には自信なんてないんだから…。