近くで見るとすっごく綺麗な人。
「ねぇお茶しようよ」
吉野さんの一言で、ホテル内にあるレストランに入ることになった。
私は相変わらず碧依さんの手を握って前を歩く2人についていく。
店内にはお昼前なせいか、あまり人がいなかった。
私たちは入り口の近くの席に座ることになり、隣には碧依さん、正面には吉野さんという感じに決まった。
私も緊張しながら腰を降ろす。
「ここのクレープ温かくて美味しいんだよ」
って神林さんが教えてくれて、クレープ好きな私はもちろん注文することに決めた。
食事をしながら高校時代の話を聞く。
「藤堂くんってすっごいモテたよね」
吉野さんの一言にドキンとした。
やっぱりモテるよね…。
だって、碧依さんカッコいいもん…。
クレープを口に運んで、フォークをくわえたまま続きを聴いていた。
「1ヶ月に一回は必ずコクられてたし?」
なんて3人で盛り上がってる。
なんか…楽しくない。
碧依さんの昔のことを聴けるのは嬉しいハズなのに、嬉しくない。
クレープも美味しいハズなのに美味しくない。
私だけここにいないみたい。