神林さんはニコリと笑った。
笑い方が碧依さんに似てる。
「西岡優月(ニシオカユヅキ)です…。こちらこそよろしくです…」
碧依さんの後ろからちょこんと顔を出して挨拶する。
また神林さんは笑い返してくれた。
「優月、あんまり引っ張ると服が伸びる」
碧依さんが笑い混じりに私に言う。
それを聴いていた神林さんは声を出して笑った。
私は恥ずかしくなって、パッと手を離す。
「蜜弥!藤堂くん!」
後ろから女の人の声がした。
振り向くと、長くて明るい茶色い髪をした女の人がこっちに小走りで向かってくる。
すぐ近くまできたその人は、神林さんの腕に勢いよくしがみつく。
神林さんの彼女かな…?
「実(ミノリ)。その子が藤堂の彼女で西岡優月ちゃん」
神林さんに紹介されて“実”と呼ばれた女の人は私を見る。
「ふーん、この子が…。初めまして。藤堂くんと同じ高校だった吉野実(ヨシノミノリ)です」
なんか…微妙な反応?
「西岡優月です…。よろしくお願いします」
「吉野は蜜弥の彼女なんだよ」
って、碧依さんが教えてくれた。