ねぇ…?と同意を求めて、あたしの口の中にグラタンを入れた。

焦げたチーズが香ばしかった。
マッシュされたジャガイモには、バターの塩味がつけてあった。


「美味しいでしょう?でも剛ちゃんはどうしてもママのじゃないとダメだと言うの。
お姉ちゃん、剛を呼んできてくれる?どっかで泣いてたら慰めてきて?
寂しがり屋だって知ってるでしょ?…一人が大嫌いなんだから…」


末っ子の我が儘坊やだからね〜と笑いながら喋ってる。

おばあちゃんが今言ったことがホントなら、あたしは今すぐにでも彼を抱きしめてあげたいけど……。



ーーーお引取りを…と言われてしまった。

この家には、用のない人間だと宣告されてしまった。


剛さんにも近寄れない気がした。


だから、すごく迷った……。



仁さんや他のご兄姉の顔を眺めた。

何も言ってくれない人達は、やはり彼の言う通り曲者揃いなのかもしれない。


一筋縄ではいかない人種。

…そうは思いたくないけどーーー



(あーあ…あたし、またメグに怒られるな。このままじゃ…)


メゲるなと言われたけど、やっぱりメゲるよ。

逃げない…と決めたけど、引き取ってくれと言われたら返す言葉も無い。


剛さんもおばあちゃんも好き…って気持ちしか持ってない。

…でも、それってきっと、誰もが皆持ってるんだーーー。