もしかしたら嫌いなんだろうか…と思ってるところへ、おばあちゃんがやって来た。



「剛ちゃん、おばあちゃんが作ったグラタンじゃダメなの?」


珍しく間違えずに聞いた。
驚くような顔をして彼が見つめる。
その彼に向かって、おばあちゃんは言葉を投げかけた。


「お母さんはもう帰ってこないのよ?どんなに約束したと言っても、もう二度と会えないの。死んでしまったのよ、飛行機の事故で。お星様になってしまったの…お父さんと一緒に…」


記憶の断片が言わせてるのは分かる。
でも、その言葉を聞いて、剛さんは声もなく立ち上がってーーーー






「……ごめん」


あたしを見て謝った。

背中を向けて、食堂を出て行く。



ーー何が起こったのか分からず、茫然とその背中を見送った。


どうして彼が出て行ったのか、さっぱり意味が見えてこない。



「剛……まだグラタン食べれないのね…」


オムライスを食べる手を止めて、結華さんが呟いた。


「いつまで経ってもガキだな」


聖さんが飽きれる。


「繊細と言ってやれよ、せめて」


類さんは無神経そうに食事を続けてる。


「無理もないさ。まだ5歳だったんだから」


口を拭きながら仁さんが弁護した。




「…一体、どういう事なんですか?」


意味が分からないから聞いた。

顔を見合わせてた兄姉達は、委任するかのように仁さんを見た。