「みんな…!」

投票場所に着くともう何人かの友達がいた。

「ミッションの内容…見た…?」

「うん…。クラスで1番頭の悪い人間が犠牲者…。」

「みんな誰に投票する…?」

「投票なんて出来るわけないだろ…!今まで仲良くしてきた友達を殺すなんて…。」

周りが静まり返る。

そうだ。
今まで仲良くしてきた友達を犠牲者になんて出来るわけない。でも…犠牲になってもらわなければ自分が死ぬかもしれない…。

「大体さ!これ…ホントに死んじゃうの…?頭の悪い人間が死ぬってあり得なくない…?」

「そーだよな…。しかも死を決めるのが投票ってゆーのも可笑しいだろ…。」

「ってことは誰も死なないってこと?」

「普通死なないでしょ…。」

みんな投票しても誰も死なないと思っている。いや…自分に思い込ませているんだ。『このゲームで誰も死なない』と…。

「じゃあクラスで1番頭の悪い人間は誰だ?」

「うーん亮平かな…?」

その一言でほとんどの人間が投票用紙にスラスラと名前を書いていく。

「おい待てよ!何で俺なんだよ…!」

『死』という恐怖に怯えているのか亮平が怒鳴りだす。

「ほ…ほんとに死ぬわけねーだろ…!」

「そーだよ、大丈夫…。」

ごめん亮平…。
私も近くにある鉛筆を握り『高松亮平』と名前を書いた。そして投票箱に入れる。