きっかけは一人の謎の少女だった。
高校への通学路を歩く私の目の前に少女は突然現れた。

「ねぇ、お姉ちゃん。」

その少女は私の前に立ち止まると声をかけてきた。

「どうしたの?」

「このお人形あげる。」

そう言って少女は手に持っていた人形を私に渡した。
それは瞳が青いフランス人形のようなもの。

「もらっていいの?」

「うん。いいよ。でも大切にしてあげてね?」

「うん、分かった。ありがとね。」

「どういたしまして。じゃあねお姉ちゃん。」

「うん、バイバイ…。」

その少女は私に手を振ってどこかに行ってしまった。

それにしてもこの人形少し不気味だな…。
あんま人形好きじゃないし。
しかもあの子何?
急に話しかけてきたかと思ったら人形渡してどっかいっちゃうなんて。

まぁ、いっか。

私はまた一人で高校への通学路を歩き出した。

もちろんその人形を持って…。

まさかこの人形が私の人生の歯車を狂わせるなんてこの時は知る由もなかった…。