樹希のお家で夕食をご馳走になった後家に帰った。


家に帰り着くと、一台のリムジンが停まっていた。


お客さんかな?


そんな呑気な事を思いながら家の中に入って私は固まった。


あれ?


この人……。


いや、まさかね……。


でもこんな目立つ人そうそういないだろうし……。


嫌な汗が背中を伝う。


相手は私の事を覚えているのか覚えていないのか分からないけど、ジッと見られ居た堪れなくなった。



「おかえり。 今帰ったのか?」

「あ、うん! た、ただいま!」



階段をゆっくり降りてくるお祖父ちゃん。


逃げられなくなってしまった。



「出掛けるの?」

「いや、今日はもうゆっくり過ごすよ。 たまにはお茶でもどうだ?」

「勿論オッケー!」



お祖父ちゃんは私の隣に立つと肩に手を置いた。



「紹介しておこう。 孫娘の葵だ」



げっ!


やっぱそういう流れになる!?



「初めまして! いつも祖父がお世話になってます!!」



「初めまして」をかなり強調して言ってみた。


彼は口角を上げると手を差し出した。



「初めまして。 海堂 隆輝です。 こちらこそいつも宝生院会長にはお世話になってます」



握手をするように手を握ると、キュッと握り返された。