「そんな事ないよ! 2人はお似合いだし、本当に好きなんだったら__」

「華」



必死に励まそうとしてくれる華の言葉を樹希が遮った。



「お前の気持ちも分かるけど、俺はやっぱ純粋に応援できねぇ」

「樹希君!!」

「宝生院グループの跡継ぎは普通に考えれば葵だ。 その葵と付き合うってなれば、次男の鳳は自然と宝生院グループを背負う将来を考えなきゃならなくなる。 その重みを背負わせる覚悟がないなら今の内に身を引いたほうがいい」

「樹希君ってば! どうしてそういう事言うの!?」



樹希の言う通りだ。


私と玲が付き合う可能性がどれ位あるかなんて分からない。


0%かもしれない。


それでも玲との将来を考えてしまう私は、やっぱり家の事を話さない方がいいし、望んではいけないのかもしれない。


樹希をポコポコ叩く華をたしなめた。



「2人ともありがと。 私が宝生院だってバレたらそれだけで玲の重荷になっちゃいそうだから黙ってるよ。 そんでもって、友達でいる。 辛くなったらまた話聞いてよ」

「葵ちゃん……」

「あははっ、なんで華が泣きそうな顔すんのぉ」



「だって」と言いながらとうとう華は泣いてしまった。