【また寝坊した!
今日も後のやつ乗るわ】
健太からそんな連絡が来た頃には、俺はいつも通りの時間の電車に乗り込んでいた。
……そういえば、ホームで岩堀を見なかったような…?
最近は電車内でっていうより、ホームでアイツを探してしまう。
まさか……また健太と一緒に…?
モヤモヤしながら吊革を握ると、ちょんちょんと肩を叩かれた。
「おはよう!翔真くん!」
「あぁ…おはよう、須藤さん」
叩いたのは須藤さんで、ニコニコと笑みを浮かべながら挨拶してきた。
可愛らしい子だ。
岩堀も昔はこんな感じだったのにな…。
「あ、
今日…岩堀は…?」
「由佳菜ちゃん?
体調崩して休みだって」
「……そ、なんだ」
「あの…
……翔真くんが由佳菜ちゃんのこと嫌いなのはわかるんだけど、
そんなに気にするほど会いたくないの?」
須藤さんが、悲しそうに眉を下げる。
……会いたくない、なんて、そんなわけない。