「おつりを受け取らないお客さんなんて、前代未聞なんですけど」
「あ、ごめん…」
そっか、わざわざおつり届けに来てくれたんだ?
「ありがと」
「こんな優しい店員いないからね?
まぁでも、逃げたい気持ちはわかるよ。
後ろに並んでた人、怖かったもんな」
うん。清水くんの威圧感すごかったもん…。
「あの人……実は同じ中学で…
私、あの人に嫌われててね…」
「そうなんだ。
でも、由佳菜のこと嫌いそうには見えなかったけど…」
「いや…本人に言われたから」
ハッキリ、嫌いだって。
「でも、由佳菜が帰ったあとの方が怖かった。
『客を呼び捨てとか、親しい関係なんですか?』とか、
すげぇ睨んで言ってくんの。
『そうです』って言ったら舌打ちされるし、
商品を袋に入れようとしたら手ぇはたかれたし……
由佳菜絡みで、あんなに怒ってたのかな?」
……やっぱり私、すごい嫌われてるんだ。
私と親しい関係の人がいることすら、気にくわないんだ。