「……おーい、由佳菜?
130円です」
「……あ、はい!」
いけない。ボーッとしてた。
急いでお財布から小銭を取り出していると。
「いらっしゃいませ」
お客さんが来たことがわかった。
だけど。
「あ」
叶都くんの声のあとに聞こえた、その短い声が
妙に耳に残る声で。
「……チッ」
聞こえた舌打ちが
私に向けられたものだと、すぐにわかった。
……さっきの声は
清水くんだ。
舌打ちされてるし、彼の方を振り向くこともできず、
気付かないフリで、財布をあさる。
「……あっ!」
フリなんてしてたせいで焦って、
チャリンチャリンと音をたてながら、小銭を落としてしまった。
「由佳菜!?
大丈夫!?」
「う、うん。
ごめん…」