それから一ヶ月くらいの時間が経って、私は段々と仕事にも慣れてきた。

でも、深く人と関わるのが嫌いな私は、てきとうに媚売って、
てきとうに浅くバイト先の人とも関わっていた。


「バイトどう?」

車の中、私の彼氏というポジションにいる和田 和樹【わだ かずき】に学校終わりバイト先まで送ってもらっていた。

「んー、まあ、普通かなあ。みんな優しいし、楽しいよ」

当たり障りない返答。

運転中ひたすら繋がれている手を見つめる。

別に運転中くらい離してたらいいのに。

「浮気すんなよ、俺華那がいないと本当に無理だから。多分浮気されたら浮気相手殺したくなる」

洒落にならないし、怖い。

あまり不自然にならないように手を離してコンビニで買ったジュースに手を伸ばした。

オレンジ味のジュースが口に広がる。甘酸っぱい。


「あ、でもね、なんか気になる人いるんだ」

窓から空を見上げてる時に、無意識に言葉がこぼれた。