「こーのはっ!」



ゴールデンウィーク明けの学校。



眠い目を擦りながらぼーっと教室に入る私の背中に、衝撃。



「あ、葉子…おはよー」

「何、テンション低いなー!」



ぶうっとほっぺを膨らませた女の子の名前は、白川葉子。



私の幼馴染みであり、現在はクラスメイトでもある。



バドミントン部に所属する彼女は、私より明るくて元気。



「葉子はいつも以上に元気だね。なんかあったの?」



「えへ、実はね、長澤先輩に旅行に誘われたの!」



「え、すごい!いいなぁ」



長澤先輩とは、葉子が付き合っている、去年までうちの高校にいたバドミントン部の先輩。



今は市外の大学に通っている。



葉子と付き合って2年になる。落ち着いてるし、幸せそうなカップルだ。



「え、なになに、葉子、彼氏と泊まり?」



私と葉子の話が聞こえたのか、クラスメイトたちが食いついてきた。



「うん、泊まり。」

「いーなぁ!」



葉子は、順調に恋愛を進めていくんだろう。



幸せそうな葉子を見ていると、嬉しさと羨ましさと、自分の情けなさで、胸騒ぎがする。