「じゃあ、家こっちだから。またね!」 「あ、このはちゃん 」 曲がり角で別れようとしたら、良くんが何か言いたそうな顔で私を引き留めた。 「このはちゃんってさ、今でも…」 良くんは急に黙ってしまった。 「…どうしたの?」 「あ、ううん、何でもないよ!またね!」 良くんは我に返ったように、早足で帰って行ってしまった。 なんだったんだろう…。 まあいっか! 私は気を取り直して、玄関のドアを開けた。