手を引かれ、歩きながら、その男は聞いてきた。

「お前、名前は!?」

「‥‥『アル』。」

オレが渋々そう答えると、その男は、

「ふうん。アルっていうのか。俺は、『ロキ』だ。」

と、自分の名前を名乗ってきた。

オレはというと、警戒した目で、ロキを見つめていた。

「フフフッ。随分と警戒してるな。」

「当たり前だろう?お前がもし、『ゴッドハンター』なら、オレは『消される』んだからな!!」

オレは、自分でそう言って、ブルッと身震いするのを感じていた。

すると、ロキは、

「安心しろ。俺は『ゴッドハンター』じゃない。」

と、そう言った。

とすると、ロキは、『デーモン・ヴァンパイア』ってことだ。

でも、油断ならない奴だ。

オレは、『直感的』にそう思っていた。

「ここが『俺んち』。」

ロキはそう言うと、オレを家の中に引っ張っていった。

そして、寝室へとオレを誘う。

「何のつもりだ!?オレには、『そっちの趣味』はないぞ!!」

オレは平静を装い、そう言った。

「フフフッ。そうか?」

ロキはそう言うと、またもや、意味深に意地悪な笑みを浮かべた。

そして、ベッドに腰掛けると、

「お前もこっちに来いよ。」

そう言って、オレを呼ぶ。

その『顔』は、さっきの意地悪な笑みとは違い、妖艶な笑みで、オレを誘っているようにも見えた。

ドキンッ!!

なっ、何だよ。

この『胸の高鳴り』は?

だって、ロキは『男』で、オレも『男』じゃないか!!

もしかして、『もう一人』の『オレ』が、無意識のうちに『反応』しているのかもしれない。

気をつけなきゃならない。

『あの事』だけは、ロキには、『悟られてはならない』。

オレは、ロキから離れたところに腰掛けた。

「クスッ。何、そんなに離れてるんだよ。」

ロキはそう言って、悠々と長い足を組むと、オレをジッと見つめてきた。

ドキンッ!!

またもや、わけの分からない胸の鼓動がする。

なっ、何だよ、コレ!!

オレは、一体、どうしたっていうんだ!?

わけの分からない感情に戸惑うオレ。

そんなオレを、ロキは、さらに妖艶な笑みを浮かべて見つめていた。