大勢の人だかりの中にいるその少女は、栗色の瞳を大きく見開き瞬きすら忘れている。
驚きのあまり口をぽかんと開けたまま、ユアンとクリフォードの方を見つめていたのはリリーだった。
昨夜パーティーで出会い、少し前にもノルディア城の中庭で話をしたばかりだ。
ただ知らなかっただけとはいえ、ユアンの正体を知らずに出会えた唯一の存在。
いつまでも隠しておけるはずがないとわかっていても、それでも知られたくなかった。
もう二度と会わないかもしれなくても、リリーには王族としてではない、ひとりの人間として接してもらいたい。
それがなぜかわからないけれど、ユアンのささやかな願いだった。
呆然として固まっているリリーの前を通り過ぎる車の中で、ショックを隠せないユアンはリリーの視線から逃げるように顔を背けている。
「…ユアン王陛下、お知り合いの方でもいましたか?」
クリフォードに尋ねられても、リリーの姿を見つけてから明らかに様子が違うユアンはその問いに答える余裕などないのか、いまだ下を向いたままだ。
驚きのあまり口をぽかんと開けたまま、ユアンとクリフォードの方を見つめていたのはリリーだった。
昨夜パーティーで出会い、少し前にもノルディア城の中庭で話をしたばかりだ。
ただ知らなかっただけとはいえ、ユアンの正体を知らずに出会えた唯一の存在。
いつまでも隠しておけるはずがないとわかっていても、それでも知られたくなかった。
もう二度と会わないかもしれなくても、リリーには王族としてではない、ひとりの人間として接してもらいたい。
それがなぜかわからないけれど、ユアンのささやかな願いだった。
呆然として固まっているリリーの前を通り過ぎる車の中で、ショックを隠せないユアンはリリーの視線から逃げるように顔を背けている。
「…ユアン王陛下、お知り合いの方でもいましたか?」
クリフォードに尋ねられても、リリーの姿を見つけてから明らかに様子が違うユアンはその問いに答える余裕などないのか、いまだ下を向いたままだ。