白馬に乗ったノルディア王国の近衛騎馬隊の集団を先頭に、パレードは順調に王都の街並みを進んでいる。

沿道に笑顔を振りまき続けることに早々とうんざりしてきたユアンは、通り過ぎる風景や大勢の人々を眺めていた。

熱狂的とも言えるほどの盛り上がりを見せるノルディア王国の国民も、様々な店が立ち並ぶ活気溢れる王都の街並みも、ギルト王国とはまるで違う。

手つかずの自然が多く残っている、といえば聞こえはいいけれど、雪に閉ざされた厳しい気候のせいか、ギルト王国は他国との交流もほとんどない閉鎖的な国ともいえる。

生まれ育った国とのあまりの違いに、ユアンは考えを巡らせていた。


「気分が優れませんか?」

「…え?」


突然掛けられた言葉に、ユアンはすぐに反応できなかった。

横を見ると、視線は沿道の観衆に向けたまま完璧な笑顔はやはり崩さずに、クリフォードが問いかけたようだ。

「顔色が良くないように見えますが」

そして一瞬、ユアンの様子を窺うようにちらりと一瞥する。