「おじゃまします」

浜田の部屋は
殺風景だ
ベッドがあって机
本棚 テレビ
基本的生活に最低限必要なものしかない

浜田のベッドの上に
座る

浜田がお茶煎れてるらしい
「お茶?ジュース?」
「ジュース!」

あいつはおばさんか
ってたまに思う

ジュースとお菓子
持って浜田が入ってくる

「…」

なぜ話さない?
黙ったまま下向いてる浜田が
前の…
あの日を思い出させる…

「…浜田?」
「……」


「…はまだ?」
「えっ?あっ!何?」

なんだこいつ!

「なんで黙ってんの?」
「あっ?いや…なんでもない!」
「はあ?ならいいよ…帰る!」
「えっ?…なんで?」
「浜田が……別に」

なんだ俺?
そそくさと玄関へ向かう

バッ!

「なんだよ…いきなり!」
「ねえ‐」
「何っ?」
「あっ!いや…」
「はっきりしろよ!」

なんなんだよ
いきなり抱きついてきて…

「…ごめん,」

だから
下向いてんじゃねえよ!

「言いたいことあんならはっきり言え!」
「…ごめんな…一緒に高校で野球するって約束破って…」

えっ?
覚えてくれてたんだ…

「別に…」

素直じゃねえな…

「…でも…俺…」
「?」
「なんでもない…」
「はっきり言え!」
「泉が好き‐…」
「…」

今なんて言いました?
『好き』ってはっきり言ったよな?
浜田って男だな!
俺も男だ!

「…はあ?」
「だから‐」
「繰り返す必要なし!」

でも
俺…浜田のこと…
ないない!


「俺帰る!また明日な!」


逃げた…
あいつからまた逃げた…

また
野球やりてーな…
とか思うけど
それは好きとは
違うよな! うん