‐中学‐

「泉!」
「浜田先輩」
「一緒に行こうぜ」
「はい」

この前日
医者に言われた…
今のままだと
肘を壊すって
でも
野球やるのが
今は
好きだから
辞めようとか諦めるとか
考えられなかった

泉とは
無言のまま
部室まで
来てしまった…

「キャッチ始めるぞ」
部長が叫ぶ
それとともに
部室から
ぞろぞろと部員が出て行く

いつも通り
肘が少し痛むくらい
いつもだから
気にしないで居た

そんなときだった
肘に激痛が
走ったのは

「いってッッッッ!」

気付いたら
顧問 コーチ 先輩 後輩 タメの奴ら
みんなが俺の前に
ズラッと並んでいた
「大丈夫か?」
「大丈夫…です」

泉の顔が見えない
キョロキョロ
探してみると
あいつは
グラウンドの隅っこで
涙を流してた
俺の見間違いじゃなければ…

なんで
そん時から
泉のそばにいてやんないとって
思い始めた


『リトルリーグ肘』

もう野球続けられない…
そう
告げられた…

次の日
顧問に退部届を
出した

未練残したまま
野球部に背を向けた