「ありがとう…」




今は、それしか言えない。




やっぱりおまじないでみんなの恋をサポートするなんて、ムリなのかな。




カズマは西内さんと別れちゃうし、紫藤くんだって変な噂が流れて、桃ちゃんはさっきの子と雰囲気が悪くなった。




全然、誰もハッピーになってないよ…。




「ねぇ」




コソッと、桃ちゃんが耳打ちしてきた。




「どうしたの?」




「足のケガが、早く治るおまじないってある?」




「それって…もしかして」




紫藤くん、足を怪我してたよね。




桃ちゃんはまだ、あたしのおまじないを必要としてくれてる?




すると桃ちゃんが、顔を少し赤らめてへへっと笑った。




「早く試合に出れますようにって、誰に言うでもなく毎日お願いしてるの。それでも、なにもしないよりしたいから。また、新しいおまじないを教えて欲しいの」




何もしないより、したい…か。




そうだよね、あたしも桃ちゃんと同じ気持ちだよ。