ー紫耀sideー





俺の毎日は、誰よりも充実しとると思う。



好きな仕事をして、愛想ふりまけば金が貰える。



上辺だけの言葉を並べとったら、勝手にファンが俺を好きになる。



「しょー。シャワー先に浴びるわ〜」


「んー」



ただ、どうもおもんなかった。



「はぁ。つまらんな」


「紫耀がそんなん言うん珍しいやん」


廉と大吾とショッピング。


「あ、あの店って新しく出来たんやろ?」



街中にある今人気のメンズショップ。



「俺あそこ行きたい」



廉に付き添ってその店に寄った。



カランカラン♪



あー…結構好きかも。



「なっ!なぁなぁっ!!」


「ん?ええもんあった?」



大吾が袖を引っ張り、やけに興奮しとった。



「あの子めっちゃ可愛ない?」



店内におる俺らとタメぐらいの女子2人。



大吾が指差した子。



背が低く、女っぽい子やった。



俺はどっちか言うたら…



その隣のサッパリした感じの子がタイプ。



「ほな、私あっち見てくるわー」


「あ、私も行くっ!」



タタッ…



俺の横を通ったその子。



…でも、俺の方を見た。



「……」



仕事のせいか、自分に興味ある女には、興味がなかった。



興味無いから、
誘って俺の事好きになったら捨てる…
みたいな…。



だからあの子はタイプやけどパス。



「はー…大吾、かわええ子紹介してやーい」


「もー。すぐ言うー」



だから…



またあの子がおるなんて思わんかった。



高3の秋、廉が仕事で行けんかったから代わりにあの店にオーダーメイドを頼みに行った。



あのカマっぽい店長やと思ったら…



「…今日はもう閉店しましたけど…?」



あの女がまた現れた。



黒髪のポニーテールの女。



あー…やっぱ顔はめっちゃタイプ。



「しょ〜♪瑠美と遊ばん?」


「ホテル先行っとって」


「うん♪」



彼氏がおるのに俺と遊ぶ女。



やっぱこれぐらいが丁度ええわ…



女に本気になるなんてアホらし。