ザワザワ…



「わっ…」



言われたそばから人混みの中、るきちゃんと夏目くんと離れた。



ポツ…



「…雪やー…」



パレードで賑わう人混みの中、雪が降り始めた。



「…っ…」



忘れようとしても、ずっと頭の中には平野がおった。



ずっと、会いたかった。



会いたいのに、会ったらあかん…



勝手に頬から涙がこぼれた。



「…会いたい…っ…」



会いたい…



会いたいって思えば思うほど、胸がキューってなって1人で寂しい気持ちになった。



ダメなんや、こんな気持ち…



アイドルに、恋するなんて…



また名前呼んでほしいなんて、思っちゃいけなかった。



(「…美央…」)


「……へ?」



…今…



平野の声が聞こえた気がした。



「…気のせいかー…」



顔を上げても、平野の姿は無かった。



…幻聴か。



恐ろしいわ。



夏目くん達に電話して合流し…



prrr…



私のスマホが鳴った。



夏目くんかな?



「…え…?」



幻聴ちゃうかった。



ずっと…



もう鳴ることも、鳴らすこともないと思ってた。



「……」



溢れた涙が、スマホの画面に溢れた。



ピッ



『平野』と記された番号の着信に、私は応答した。



「…も、しもし…?」



私は涙声でそう言った。



「……やっと見つけた…」