ー紫耀sideー




刺された状況を把握した後、俺は、身体が勝手に動いていた。



倒れたコイツを抱えて、すぐ近くの病院まで走った。



「……」


「…平野君さ、」


「……」


「平野君にとって、美央︎って何なん?」


「…別にそんなんとちゃっ…」


「ならさ、」


「勘違いさせるような事やるんやめてくれへん?」


「……」



夏目ってヤツが、苦しそうな顔で、俺にそう言った。



「コイツは…お前の事本気なんやで?」


「…俺はっ…」



俺は…



こいつの事なんか…



「…好き…ちゃうからっ…」


「…もう、あの店には行かへんから」



俺のせいで刺されて、あんな風に…



「…悪いな…」



夏目が俺に謝った。



謝るん、俺の方やん…



「…ほな」

翌日から、前の生活に戻った。



アイツを忘れる為に、女遊びは前より激しくなった。