ザワザワ…



講義が終わり、私は夏目くんとバイトに向かった。



「ほな終わったら電話ちょうだーい」


「了解です」



♪〜



「平野くんはもうええの?」


「もうええ。他の人見つける」


「あらまっ!」


「あんな性格ブサイク野郎なんか…」


「顔面ブスッ」


「…うわっ!?」



私と夏目くんの後ろにあの人が立っとった。



「何、人のおらんとこで愚痴?」


「…すみません…」



って…何謝ってるん私。



全然悪ないやん。



「オーダーメイドのやつさっさと渡せ」


「今持ってきます」



タッタッ



「ちょっ!?」



夏目くんが店に品を取りに行き、この人と2人きりになってしまった。



「……」



身長変わらんし。



私ってそんなブス?



「で、お前って俺のこと好きなんか?」



マスクをしとる彼がそう言った。



…話全部聞いてたんや。



「…好きでした。もう過去形ですので」


「キモッ」


「…は?」


「過去形でもマジキモい。ブスに好かれるとか」



スマホをいじりながら言い続ける。



…我慢我慢。



「大体何?話したこともないのに、好きになるん?笑」


「……」



プルプル…



悔しすぎて涙が出そうやった。



全部、図星…



「だから視界に入っ…」



カツカツ…



「…何してんねん?」



男から離れた場所に立った。



「…視界に入らないようにしました」


「…お前ってアホやな」



は!?



ブチっと頭の中で何かが切れた。



ボコッ



「黙って聞いてれば、なんやねん!あんたみたいな外見だけの男に、何でそんなん言われなあかんねんっ!!」



自分でも、何でこんなにムキになって怒ってるんか分からんかった。



「私を見るんが嫌なら、もう店来なきゃええやろ!!」



何で嫌いなのに涙が目に溜まってるんやろ…?



「…おい、ちょっ…」


「こっち来んなクズ男っ!!」



バタンッ



「…あのー…」


「……」


「オーダーメイドの品です」


「…どうも」


「どうです?うちの美心」


「…嫌いやないわ、あーいうんわ」