「どう? 『今治』」




ど、どうって……どうだろ……。




私が暇だと知った途端、晴さんは「私の小説読んでくれない?」と言って、私を部屋に呼び込み、それから何作もの原稿を手渡された。




「これ結構自信あるんだよねー。わざわざ取材旅行までしたし」




「は、はあ……」




「ほら、ここ! この言い回し! 私のお気に入りなんだけど、どう?」




「は、はあ……いいと思います」




「でしょー!? いやあ、話のわかる子だわ!」




そう言って、晴さんから背中をバシバシと叩かれる。




「それじゃ、次! 私のデビュー作になりそこなった作品、『私のちょっとだけ好きな9文字の人』行ってみよう!」




な、なりそこなったって……。




またこの原稿の量……。