あの愛しの公生くんの家に、私が?
「む、無理無理!! だって、住所もわかんないし……」
「それなら送っといたるよ。俺、わかるし」
「いやいや、住所知ったところで、家に行くなんて、しかも、そこで新海公園行きの交渉なんて……」
「まあ、嫌なら嫌でもええわ。一応住所は送っとくわ。あとは優衣、お前が決めるんや」
そ、そんな薄情な……。
公生くんだって、私なんかが家に来たら、絶対迷惑だよ……。
でも、なんで加持くんはそこまで公生くんのためにするんだろう。
加持くんからしたら、公生くんがいないほうが、自分に有利になるはずなのに……。
「ほな、送っとくなー!」
「ちょ、ちょっと待って加持くん!」
「んー?」
「なんで……なんで恋敵の公生くんのためにそこまでするの?」
「はあ? ちゃうで。俺は、優衣のためにやるんやで?」
え? 私のため?